私はこの中途半端さを大切にしたい。
こんにちは!「陰陽師被害ドットコム」ブログ更新です。
専門的ではない被害者目線で「偽陰陽師」や「インチキ・スピリチュアル・カウンセラー」の情報をお伝えしていきたいと思います。
担当はサトウになります。
どうぞよろしくお願いいたします。
忠告「する」「しない」で揺らぐ
少し前に、ある知人が「自己啓発やスピリチュアルにハマってる友人が心配で、目を覚ますよう忠告してる」と話していた。
その言葉に違和感を覚えた。目を覚ますことが相手にとっての幸福だと、なぜ言い切れるのだろう? たとえ自分には理解できないものであっても、他者がそれを信じるのは自由ではないか。
私がそう考えるのは、Aちゃんの存在が大きい。彼女は病気やお金、家族の問題など、いくつもの苦難を乗り越えながら、今は子育てに奮闘している。大変そうではあるものの、幸せそうだ。例の自己啓発やスピリチュアルが、彼女が苦難を乗り越えるための支えになっていたのだとしたら、私は「目を覚ませ」だなんて到底言えない。
たられば話をしても仕方がないけど、もしも彼女が誰かから自己啓発やスピリチュアルを取り上げられていたら、どうなっていただろう? それでも、今と同じようにしなやかな強さを身に着けていたかもしれない。今よりもっと幸せになっていたかもしれないし、もっと不幸になっていたかもしれない。それは、私にも彼女にも、誰にもわからないのではないか。
仮に、自分が「目を覚ませ」と忠告したことにより、相手が自己啓発やスピリチュアルにのめり込むのをやめたとする(実際はのめり込んでいる人に忠告したところで聞き入れてもらえないと思うが)。それは、相手から拠り所を奪うことにならないだろうか。そう思うと、忠告するのは怖い。
一方で、世の中には自己啓発やスピリチュアルにハマったことで身を滅ぼした人もいると聞く。「心の赴くままに生きよう」というメッセージを真に受けて勢いで仕事を辞めたり、家庭が崩壊したり、起業したけどうまくいかなかったり……。そういう体験談を読むと、「やっぱり忠告することこそ優しさなのかもしれない」と、考えが揺らぎはじめる。
また、「自己啓発やスピなどに依存する人の中には、精神疾患などの要因から正常な判断力を持たない人もいる」という意見をネットで読んだ。
たしかにAちゃんは精神疾患を持つし、育った家庭にもさまざまな問題がある。疾患や家庭環境などの生きづらさが原因で自己啓発やスピを拠り所にしている人に、「個人の自由」「本人がよければそれでいい」と言うのは、相手を尊重しているようで突き放すことにならないだろうか。それは、自己責任論でたびたび語られる「排除」や「分断」に通じるのでは……?
そんなふうに考えはじめると、忠告することとしないこと、どちらがAちゃんにとって最善かわからなくなった。
考えても考えても答えは出ない。結局、そのことには触れずに友人関係を続けてきた。
焦点を当てるべきところは?
この原稿を書くにあたり、久しぶりにAちゃんと連絡を取った。本人の口からはっきりと「今は幸せだよ」という言葉を聞き、嬉しくなる。彼女はもう、かつてのような熱心さでカウンセラー界隈にのめり込んでいるわけではなく、教祖的なカウンセラーの発信もたまに読む程度らしい。
彼女は言う。
「今でも、あの界隈の『こうあるべき』に捉われない考え方は好きだよ。頑張らなくても、ありのままの自分に価値があると思えるようになったし。肩の力が抜けて生きるのが楽になったのは、あの界隈の考え方に出会ったおかげだと思う」
私は、「自己啓発やスピリチュアルに対して、肯定派にも否定派にもなれない。周りにハマっている人がいるとき、忠告すべきか否かもわからない」ということを伝えた。自分からAちゃんにその話題を振るのははじめてで、勇気の要ることだった。
「サキちゃんみたいに一歩引いた目線で見てくれるのは嬉しいよ。渦中にいると客観視できないし、でも頭ごなしに全否定されるのも嫌だし」
その言葉を聞き、私の接し方が間違いではなかったことに安堵した。少なくとも、私とAちゃんにおいては。
これはあくまで私とAちゃんの場合で、すべての人たちに当てはまるとは思わない。ただただ、ひとつの個人的な体験として書いた。
彼女の「一歩引いて客観的に見ていてほしい。でも頭ごなしに全否定されたくない」という思いは、私の「肯定か否定か、忠告すべきか否かわからない」という思い同様に、どっちつかずで中途半端なものだ。
感覚的な言い方になるが、私はこの中途半端さを大切にしたい。
自己啓発もスピリチュアルも、信者とアンチに二極化しがちだ。けれど、肯定か否定か、どちらかのスタンスを選ばなければいけないという決まりはない。人の思考は多くの場合、白か黒かの極端なものではなく、グレーゾーンで揺らぐものではないだろうか。
自分が否定派か肯定派かを決める前に、まずは目の前の相手と対話をしたい。ハマっている人に対して、「目を覚ましなよ!」と注意喚起の否定をするのではなく、かと言って「あなたにそれが必要ならそれでいいんじゃない」と突き放した肯定をするのでもなく。
その人を自己啓発やスピリチュアルに向かわせる原因は何か、他のものではその代替にならないのか、それを知りたい。白黒つけず、自分の意見を押し付けず、まずは耳を傾けたい。
すべての人の声に耳を傾けることはできないけれど、少なくとも周りの大切な人の声は、遮らずに最後まで聞きたい。
友人には幸せでいてほしいし、可能な限りずっと友人でいたい。
結局のところ、望むものはそれだけなのだ。
講談社 ライター 吉玉サキ より転載
スタッフの感想
今回は「講談社 ライター 吉玉サキ」より実例報告を取り上げました。
自分の身近な人間がスピリチャアルにハマって、自分も巻き込もうとしてきた時は、対応に困りますよね!注意をしてあげたくても、相手はのめり込んでいるのでケンカになりそうだし・・・やはり時間が解決するとは思いますが、それまでは距離を置いて付合うしかありませんね。
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