視聴率を稼げるにしてもリスクを冒してまでオカルト番組を放送するわけにはいかない理由
ネットが普及する以前は、オカルト番組の非科学的内容が問題視されることは少なく、わざわざクレームの電話をテレビ局にかける人も少数派だった。
ただ、今はツイッターなどのSNSでは、匿名でありながら気軽に誰でも文句をつぶやくことができるため、瞬く間に拡散してしまうケースもあり得る。テレビ局としては、仮に視聴率を稼げるにしても、そのような危険を冒してまでオカルト番組を放送するわけにはいかないのだ。
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テレビでは扱われなくても世の中に蔓延し続けるオカルト
現状では、少なくとも地上波の民放各局でオカルトを主題として取り上げている番組は絶滅危惧種といっていいだろう。明らかにCGで作られたフェイク映像を、確信犯のうえで放送する衝撃映像系の番組か、「信じるか信じないかはアナタ次第」と、完全にお笑いのネタとして扱っていた『やりすぎコージー』のようなバラエティーぐらいである。
しかし、これからオカルト番組が復活する可能性も否定できないと、高橋氏は語る。
「拙書で『オカルト番組は消える』と書いたのは、これまでお話ししたように、オカルト番組の成立以来、放送を支えてきた前提が失われ、放送されなくなっている状況を捉えてのことです。オカルトと科学の間に位置する新しい番組が出てくる可能性はゼロではありません。あるいは、スピリチュアルブームがあったように、精神世界に関するものから新機軸が打ち出されれば、再び放送されることになるかもしれません。視聴者のリテラシーやクリティカル・シンキングの向上によってオカルト番組が放送されなくなったわけではないのです」
オカルト番組が終わりを迎えつつあっても、世間にはオカルト的なものが拡散しているのは事実だ。オカルトを楽しむにしても、科学的検証をするにしても、オカルトに対するリテラシーが必要だろう。
ダイヤモンド社オンライン より転載