コロナ不況につけこむ「開運・霊感商法」に要注意! 怪しい“無料”占いサイトの罠2
アクセスしないでいると
「一寸先に断絶が……」
悪質さを感じたので、さらに300ポイントを購入して、再び依頼のメールを出しました。私は怪しいと思ったら、突っ込みます。
「負の力とはどのようなものでしょうか。先生にはどのような力があるのですか?」
すると、こんな返答が。
「私が使う能力は霊視で、守護霊様に降りていただき、アドバイスをしていただきます。あなたは現在、精神的に参られているようなので、先にヒーリングを行わせていただいてもよろしいでしょうか?」
肝心な「負の力」については何も答えてくれないのです。
そこで「私の守護霊は誰ですか? 守護霊は何を話していますか? ヒーリングをよろしくお願いします」と鑑定依頼を出すと、
「守護霊様が誰かは、はっきりしていません。これから鑑定をして人物像をみていきたいと思います。ご都合はいつがよろしいでしょうか?」
と返事がきました。守護霊が誰かと聞いてみたら「これからみる」と言い、「ヒーリングをお願いします」と言っているのに「都合のよい時間を教えてくれ」と話を引き延ばす。すでに3千円を使っており、やりとりをダラダラと引き延ばして、お金を取ろうとするサイトであることが見てとれました。
しかしここからが、この悪質占いサイトの本領発揮でした。
あきれて、サイトにアクセスせずにいると、次々に鑑定メールが送られてきたのです。しかも恐怖をあおるような形で。
「あなたは、足を踏み外して転落しそうです。一寸先に断絶が待っています」
駅の階段から転落するのか、ビルからなのかはわかりませんが、先行きの不安を煽ってきます。
さらに「あなたには、浮動殺界が迫っています。いますぐ、手を打つべきです」「あなたに、悪魔ベルフェゴールのカードが現れました」というものも。
「殺」「悪魔」「転落する」という恐怖を覚えさせるような言葉を使って、鑑定依頼をするように迫ります。まじめな人ほど、この罠にはまってしまうのです。
もちろん、しっかりとした知識を持って占いをしている業者もいるのですが、一方でお金を取ることを目的にするサイトもあるのも実情です。
今は、新型コロナという見えない敵を意識した生活を送り、コロナ不況によって先行きに不安を感じている人も多くいます。こんなとき、「今、あなたは明日の生活への不安を感じて、精神的に追いやられていますね。このままだと、金銭的に立ちいかなくなりますよ」と、バーナム効果を使われれば、騙される人は後をたたないことでしょう。
見えない不安の前には、希望を見出したい。行くべき指針がほしい。そうした思いを巧みに利用して、お金を騙しとろうとする開運・霊感の手口には、注意をしておいてほしいと思います。
多田文明<ただ・ふみあき>
1965年生まれ。詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト。ルポライターとしても活躍。キャッチセールスの勧誘先など、これまで100箇所以上を潜入取材。それらの実体験を綴った著書『ついていったらこうなった』はベストセラーとなり、のちにフジテレビで番組化。マインドコントロールなど詐欺の手法にも詳しい。そのほか『だまされた! 「だましのプロ」 の心理戦術を見抜く本』など多くの本を出版、テレビやラジオ、講演会などへの出演も。